企業の総務部門で約20年、法改正の対応や社員の福利厚生、給与体系の整備に携わってきました。従業員からの生活相談を受ける中で頻繁に目にするのが、「将来への漠然とした不安」から過度な節約に走り、現在の生活の質(QOL)を著しく落としているケースです。
生活防衛の基本は、感情論を排除し、「数字」と「制度」を武器に現状を把握することから始まります。不安だから貯めるのではなく、期待値とデータに基づいて「いくら使っても安全か」を定義しなければ、心豊かな生活は送れません。
「なんとなく不安」を排除する。1円単位でのキャッシュフロー予測
将来への不安を取り除く唯一の方法は、家計のキャッシュフローを1円単位でシミュレーションすることです。「だいたいこれくらいかかるだろう」というどんぶり勘定が、不要な節約とストレスを生み出します。
【sawaの実体験・所感】
かくいう私も以前は不安でたまりませんでした。スーパーで買い物をするたび、車のガソリンを入れるたび、「こんなに使っていいのだろうか?大丈夫?」と不安になったし、「将来の年金はいくらもらえるの?」、「このままの状態で老後の生活は大丈夫なのだろうか?」など、お金にまつわる全てに不安を持つ生活をしていました。
しかし、不安の正体をひとつひとつを「明らか」にすることで、自分たちのお金が「管理されている」状態へと変わり、漠然としていた不安がなくなりました。
・家計簿をつけることで、今何にお金をつかっているのかが明らかになる
・明らかになることで「予算」をたてることができる
・「予算」に対して「実績」を対比させることで、「見直す」ことができる
・「予実(予算と実績)」と「見直す」を繰り返すことで「精度」が上がる
・「精度」が上がることで、「家計の最適」が明らかになり、不安が少なくなる
上に述べたことは、収入(入るお金はいくらか)と支出(入ったお金をどう使ったか)についての「現在」を明らかにする行為ですが、これにプラスして「未来」のお金はどうなっているのかについてシュミレーションをすることも、とても大切です。
「ねんきん定期便」を見返して年金額を概算したり、「投資」に回しているお金が20年後にどのくらい増えているかをシュミレーションをしたりして、お金にまつわる全てのことを明らかにしています。
現金預金1,000万円+児童手当ストック350万円をベースにした現実的シミュレーション
例えば、現在手元にある現金預金1,000万円と、これまで積み上げてきた児童手当のストック350万円。これらをベースに、今後の支出の波を予測します。
12歳の長女、そして6歳の次女と4歳の長男。この3人の子どもたちがそれぞれ高校、大学へと進学する際、教育費のピークはいつ訪れ、年間いくらのキャッシュアウトが発生するのか。児童手当の350万円はどのタイミングで切り崩し、現預金の1,000万円からいくらを生活防衛資金としてキープするのか。エクセルなどの表計算ソフトを用い、自身の退職年齢(60歳での独立予定)までの年表を作り、すべての数字を落とし込みます。
「これ以上は使っても安全」という防衛ラインの引き方
教育費のピークと老後資金の必要額がデータとして可視化されると、「絶対に手をつけてはいけない金額(防衛ライン)」が明確になります。そして、この防衛ラインを上回る部分の資金こそが、現在のQOLを向上させるために「使っても良いお金」です。
将来のために「今」を犠牲にするのは本末転倒です。手元の数字が整理できれば、罪悪感なく自己投資や家族との時間にお金を使えるようになります。
関連記事: 第5回:配当金(JT等)は「今」を楽しむために使う。高配当株と連動させるQOL向上ループ
次回のシミュレーション更新日をカレンダーに入れ、まずはご自身の家計の「防衛ライン」を計算してみてください。数字は決して裏切りません。